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ドイツの生活③

     2年目 ◆

~日常にも音楽を~

そろそろ演奏会に・・

ドイツ生活が始まってあっと言う間に1年。その間、主人と私はずっと演奏会へ足を運ぶのを我慢してきました。なぜならがまだ小さかったから。欧米人は小さな我が子をベビーシッターに預けて夫婦同伴でパーティやコンサートに出掛ける、とよく耳にしますが、私達は日本人。自分たちが遊ぶために子供を他人に預ける、というのは抵抗がありました。けれど、もう我慢の限界。が4才になったのを機会にいざ!演奏会へ!!

 

ドイツではどの演奏会も「未就学児お断り」とは書いてありません。迷惑さえ掛けなければ文句は言われないのです。

遂に 初の演奏会体験! そこで選んだ演目は・・。4才の子供の立場を全く無視した、主人の趣味のみを重視したプログラム。

 

演奏会当日、にはちょっとお洒落に白いワンピースを着せました。ホールのロビーはシャンペンやワインのグラスを片手に談笑している大人が一杯。そんな中をが歩くだけで「まぁ、あんな小さな子供が来てるわ」と注目の的。みんなに見られてるのがわかるので、ついついも調子に乗って「私は音楽好きのお嬢様」風に振る舞います。いい気分でコンサート会場へ。

 

一曲目はチャイコフスキーの弦楽セレナーデ。力強く、そして流れる弦の響きに感動している様子。ここまでは良かった・・。2曲目はショスタコビッチのピアノとトランペットの協奏曲。この曲はアップテンポで最後にはトランペットとピアノがこれでもか!とガンガンと鳴らす。そんな中は・・・。爆睡!!大音響のおかげでイビキは周りの人に聞こえなかったと思いますが・・。休憩中も熟睡で私達は動くこともできず。結局は後半、何が演奏されたか聴くこともなく帰路についたのでした。(-_-;)

 

結局 後半のプログラムを聴くこともなく、演奏会場を後にしたでしたが、周りの人たちから注目され、生の音楽を聴きながら眠りにつく・・という贅沢なひとときを過ごせた事に満足した様子。私達も、取り敢えず愚図ることなく、静かに寝てくれるのであれば良し(^_^)ノ。

 

という訳で、このときから少なくとも月に1回はコンサートに足を運ぶようになりました。季節は冬、さすが本場ドイツなので素晴らしいコンサートが数珠つなぎ。しかもホールまで車で30分でハンブルクのコンサートホールやオペラハウスに行けるのです。クリスマスも近づくとこども向けのオペラ「ヘンゼルとグレーテル」や「魔笛」バレエでは「くるみ割り人形」も始まります。「未就学児お断り」どころか、小さな子供のために座高を高くするクッションまで貸してもらえます。

 

普通の演奏会では相変わらず熟睡してしまうですが、オペラは気に入ったようで、家でも魔笛の「夜の女王のアリア」を絶唱(-_-;)   また キンダーオペラというこども向けにわざわざ短く演じられるオペラもあり、ここでは日曜日の昼に、モーツァルトの他、ワーグナーなどの本格派オペラも演じられます。

 

憧れのピアニスト

私達の住んでいる街レリンゲンはハンブルクに近いところに位置しますが、州はハンブルク州ではなく、シュレスビッヒ・ホルシュタイン州に属します。そしてここでは毎年、「シュレスビッヒ・ホルシュタイン・ムジーク・フェスティバル」という音楽祭が開催されます。州のコンサートホール以外にも教会や馬小屋やお城の庭園など至るところで演奏会が開かれるのですが、世界的にもかなり有名な演奏家も多数登場します。どのコンサートに足を運ぶか・・。日程表を広げて行けそうなコンサートに印を付けながら検討するのも楽しみの一つです。

 

そうして選んだ演奏会の一つにピアニスト「アリス・紗良・オット」がありました。このピアニストは父親がドイツ人、母親は日本人のハーフです。ミュンヘンで生まれ育ったそうですが、日本人学校に通ったということで日本語も普通に話します。大きな目、長い髪、スラッとした長身、長い指。幼少のでさえ「この人ステキ!!」と一目みてファンになったようです。見た目だけでなく演奏も素晴らしい。超絶のテクニック、繊細な音色。

 

プロフィールを見ると、ピアノの先生でもある母親に連れられて3歳のころに行ったピアノの演奏会で「ピアノでこんなにも表現できるのか」と感動し(!)自分もピアノをやりたいと訴えたけど、まだ早いから、とOKがもらえず、やっと4才になってピアノをスタート、それからはピアニスト街道まっしぐら。3才でそこまで感じること自体フツーではない。そんなプロフィールをに聞かせても「ふーん」とさほど驚いた様子もなく・・。「私、この人好き!」なんて調子のいいこと言っていた、アンコールのラ・カンパネラの頃は夢の中でした。

 

デッカルト先生 

月日は過ぎ、平日は母子2人、週末はパパが戻ってきて一緒に車で色々な街を訪れたりコンサートに足をのばす・・そんな日常が続きました。幼稚園でもお友達ができ、平穏な日々。さあ、次は私の番です。

 

が一年間リトミックで通っていた音楽学校「ハンブルグ・コンセルバトワール」には音楽留学生、とくにアジア人が多く学ぶ特別コースがあります。主婦であり母でもある私はさすがにこのコースに入学するのは無理ですが、個人レッスンを受ける事は可能かも。事務局にコンタクトを取り、紹介して貰ったのが GundelDeckart(グンデル・デッカルト)先生。毎年日本は勿論、韓国や中国からの留学生を受け入れ、またブレーメン音楽大学でも教鞭をとっていらっしゃいます。レッスンを聴講させて貰える、というので早速覗きに行きました。

  

丁度、日本からの留学生が「ベートーヴェンソナタ30番」を弾いているところでした。もうすぐコンサートでこの曲を弾く、という事でほぼ出来上がっている状況でしたが、何度も「たとえばこんな風に・・」と先生自身が弾いて見せる、そんなレッスンでした。その音の素晴らしい事!「細かいところまで丁寧に教えて貰えるし、とても優しいですよ」と、その留学生も話してくれました。私みたいなオバサンのレッスンは無理かな、と思ったけど「木曜日の午前中だけ空いてるから自宅レッスンでよければ」との返事を頂けました。

 

いよいよ私のレッスンが始まることになりました。久々の心地よい緊張。(この地に暮らし始めて 緊張といえば冷や汗ものばかりだったような気がします。)

持っていった曲は確かシューマンのインテルメッツォから2曲。やはり何度も先生自身で弾いて見せて、のレッスン。ペダルの使い方と、あと和声的な分析。これは話に付いていくだけで必死です。そして薦められたエチュードがPISCHNA(ピシュナ)の60の練習曲。三和音を押さえたままで残りの2本の指を動かす・・といった練習が延々と続きます。まさに学生に戻った気分。

 

 

 

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