西洋音楽史と日本の歴史
私は学生の頃から現在に至るまで歴史が苦手です。 取り敢えず定期テストでは出された範囲をひたすらに 丸暗記してその場しのぎで点数を取るようにしていた ので、頭の中に時系列で物事が並んでいないのです。 ですから、例えばバッハは1685年に生まれたバロッ ク時代の作曲家、モーツァルトは・・と知っていて も、その頃の日本はどうなっていたのか、と考える と・・???? これではまずい、と思ったので、少しずつ整理してい こうと思います。
◆中世・ルネッサンス◆
私の中ではクラシック音楽は大体、バッハあたりから始まっています。いわゆるバロックと呼ばれている時代です。もちろん、それ以前の中世では教会音楽(単旋律のグレゴリオ聖歌など)、ポリフォニー(多声音 楽)が整うルネッサンス期には、モンテヴェルディ (イタリア)や、リュリ(フランス)などが活躍するのですが、ピアノがまだ生まれてない時代なので、私には馴染のない時代ではあります。 バッハ以前といえば、大体15~16世紀。そのころ日本では何が起こっていたのでしょうか? 娘の歴史の教科書を拝借して年表を開いてみました。 1600年前後といえば・・。なるほど、江戸幕府の成立あたりなんですね。
*1543年 ポルトガルから鉄砲伝来。 *1549年 フランシスコ・ザビエルがキリスト教を 伝来、とあります。 だとしたら、西洋の教会音楽ももしかして、日本に伝えられていたかもしれません。このころ、全国統一を 目指した織田信長は舶来かぶれ(?)でイエズス会と 交流があり、1579年に建てられた安土城で西洋音楽も聴いていた、という記録も残っているそうです。 ふ~ん・・。なんか少し興味が湧いてきた!! 織田信長が本能寺の変(1582)で明智光秀に敗れた後、全国を統一したのが、豊臣秀吉。 しかし、秀吉によってキリスト教は排斥され(バテレ ン追放)、西洋文化は入ってこなくなったようです。 その後、1600年に関ヶ原の戦いを経て江戸時代(徳 川の天下)がはじまりますが、いわゆる鎖国政策で、 西洋文化は一切遮断されてしまいます。しかし、島原の隠れキリシタンが習った讃美歌を念仏(オラショ) として後世に伝えたということです。 鎖国がなければ日本の文化もまた、違ったものになっていたかもしれません。 ではこのころ、日本ではどんな芸術が生まれていたの でしょうか。 *現在の歌舞伎の創始者といわれる出雲阿国による 「かぶき踊り」が流行。 *茶の湯の千利休 *箏曲(六段の調など)を作った音楽家の八橋検 校 など。 歌舞伎といえば、日本版オペラのようなもの。同じ時 期、西洋でもモンテヴェルディ(イタリア)のオペラ 「オルフェオ」が誕生しました。現存する最古のオペ ラと言われています。 地球上の遠く離れたところで、それぞれのオペラが演じられていた・・。少しロマンを感じますね(^^)/
◆バロック◆
J.S.バッハが生まれたのは1685年。他にもヴィヴァル ディ(1678-1741)やヘンデル(1685-1759)が活躍 していたこの頃の日本は・・。 江戸時代。5代将軍徳川綱吉のころ。元禄文化が生まれたのがこの頃です。 *井原西鶴の「浮世草子」 *松尾芭蕉の「奥の細道」 *近松門左衛門の「曽根崎心中」 などが書かれています。日本もヨーロッパに負けていませんね。 !
◆古典派◆
ハイドン(1732-1809)、モーツァルト(1756- 1791)、ベートーヴェン(1770-1827)、シューベルト (1797-1828)が代表する古典派音楽の時代。 日本では八代将軍、徳川吉宗の頃。まだ鎖国は続きます。 鎖国の間も長崎の出島では対オランダ貿易が行われて いました。1820年にはオランダ人によるオペレッタ が上演されたそうです。また、1826年にはシーボル トが江戸にピアノを持ち込んだ、という記録もあるそうです。とはいえ、鎖国ゆえ、日本の音楽には影響が なかったようです。 文化で言えば、化政文化が発展しました。 *画家の「喜多川歌麿」「葛飾北斎」「安藤広重」 *文学では、十返舎一九の「東海道中膝栗毛」や滝沢 馬琴の「南総里見八犬伝」 *俳諧では「与謝蕪村」に「小林一茶」 私でさえ知っている名前がずらりと並びます。
◆ロマン派◆
ベートーヴェンの革新的な作風は表現を拡大し、ロマ ン派への扉を開くことになります。 ポーランドのショパン(1810-1849)、フランスの ベルリオーズ(1803-1869)、ドイツのシューマン (1810-1856)、ハンガリーのリスト(1811-1886)な ど、挙げればキリがありません。 この頃になると、鎖国政策で閉ざされていた日本が開 国へと動き出します。 1853年にアメリカのペリーが浦和に来航、その後 1854年に日米和親条約を結び、開国します。江戸幕 府が滅亡し、いよいよ明治維新です。
◆後期ロマン派◆
ロマン派全盛の時代、いわゆる後期ロマン派と呼ばれるこの頃を代表するのがワーグナー(1813-1883)、 ブラームス(1833-1897)、マーラー(1860-1911)な ど。 日本では明治維新で欧米の文化が一気に流入し、文明 開化とよばれます。 明治初期、イギリス海軍から薩摩藩に軍楽隊の楽器が 送られ、まず吹奏楽が広まりました。 森鴎外はドイツに留学し、「西洋音楽を代表する音楽 家」として日本にワーグナーを紹介しました。 明治20年代には雅楽家が専門教育を受け、弦楽器に も取り組み、鹿鳴館時代の舞踏会でも演奏するように なりました。 その他にも、ブルックナー、サンサーンス、ドヴォル ザーク、チャイコフスキー、プッチーニ、ドビュッシーetc.. 誰もが一度は耳にする作曲家が目白押しで活躍したこの頃、日本も負けてはいません。山田耕筰 (1886-1965)は明治43年(1910)にはドイツに留学、 欧米でも知られる日本で最初の音楽家です。
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